中国旅行記

●○● パンダへの路・四川省臥龍 ●○●

パンダへの路・四川省臥龍

2006/11/2〜6、四川省臥龍の中国保護大熊猫研究中心に行ってきました。

臥龍は、四川省の省都、成都の北西約140km。
標高2,000mの岷山山脈の中にある自然保護地区で、世界遺産にも登録されています。
その臥龍にある「中国保護大熊猫研究中心」は、パンダの保護、繁殖を目的とした機関です。

今回は、パンダ研究所のツアーに参加させていただいたのですが、普段はお会いできない飼育員の責任者カンさん(漢字不明)からお話を伺うことができました。
1983年、竹の花が一斉に咲いた時、多くのパンダちゃんが死に、傷つき弱って保護されました。※注
そのパンダを守るために、この施設が作られました。
最初は「小屋」のような施設でしたが、国やWWF、パンダ愛好家からの支援を受け、現在の形となったそうです。
初期はパンダの生態についてよく分からず、近づくこともできなかったので病気の時は注射もできず、吹き矢で薬を打っていたそうです。(ホント?)
野生のパンダちゃんは飼育員の言うことを聞かず、また飼育員もパンダのことが分からず、妊娠しても気が付かないこともあったそうです。(今は超音波検査をするそうです。)
人工授精、自然交配などでパンダの繁殖に成功していますが(今年は19頭生まれたそうです)、究極の目的は、パンダを増やすことではなく、自然に帰し野生のパンダを増やすことだそうです。
実際、3年前に臥龍よりもさらに山奥の五一棚(ウイポン)に「シャンシャン」を戻しました。
初年度は餌をやり、徐々に減らしていったそうで、今は全くやっていないそうです。
今後もシャンシャンに続き、様子を見ながら、野生に放していく予定だそうです。
ちなみにあまり大きくなってからだと野生に適応しないため、3歳くらいのパンダを放すそうです。
パンダちゃんの飼育で一番大切なのは、「家族に接するような愛情だ」とおっしゃっていたのが印象深かったです。

※注
竹は60年に一回花が咲き、その後一斉に枯れてしまうそうです。
これから何十年後にはまた咲くのでしょうが、その時はどうするのかな・・・?


それでは、臥龍の「中国保護大熊猫研究中心」に入ってみます。
右写真のような大自然の中、研究中心が建てられています。
流れている川は、「岷江」。清流です。
この川は、成都を通り、重慶で長江(揚子江)と合流し、武漢、南京、上海付近を通り、太平洋に注がれます。
雄大な話です。

中に入ると、広々としたパンダの運動場がいくつも並んでいます。
屋外運動場、親子パンダの育児室、子パンダだけの保育室などがあります。
屋外運動場のさらに山側には、傾斜を活かした自然の山の形に近い運動場も作られています。

ご存知の様に、パンダは双子を産む確立が高いのですが、だいたいは一匹しか育てません。
ですから母パンダが食事をしている最中に飼育員が子パンダを頻繁に取り替え、一匹は母パンダと一緒に母乳で、もう一匹は保育室でミルクで育てます。
保育室はガラス張りですが、ダラっとこのようなパンダの赤ちゃんを見ることができます。
カワイイですね。
まるでぬいぐるみのようです。

 

では屋外運動場に行ってみましょう!
もう、叫びたくなるほどカワイイです!
特に昨年生まれた1歳の子パンダの大群がいる運動場は、追いかけっこやら、でんぐり返しやらでじゃれあってもカワイイし、ダラ〜と眠っていてもカワイイし、見ていて飽きません。

  

  

  


この研究中心では、パンダへの支援ということで、いつくかのプログラムが準備されています。
1元(当時) 約15〜16円

◆パンダの飼育体験--- 200元
パンダの屋外及び、室内の運動場の掃除、餌の準備、餌やりなどを体験します。
3名で一人の飼育員さんに付き、支給されるつなぎを着ての作業です。
パンダが食べ散らかした笹の片付け、糞の掃除の後、新しい笹を準備します。
慣れないながらも3名での作業でしたので1時間ほどで終わりましたが、普段は飼育員さん一人での作業なので、屋外、室内で2時間ほどかかるそうです。
またパンダ団子(パンダケーキ?)を1頭につき300gに切り分けます。
このパンダ団子は、米、コーリャン、トウモロコシ、グリーンピース、竹、卵、砂糖、塩などでできているそうです。
意外と硬かった。
小さく切って、直接パンダの口に団子を入れることができました。
カワイイパンダちゃんですが、手から直接あげる時、目の前で大きな牙を見ると一瞬ギョっとします。
また、屋外運動場の外から細い筍を投げ与えるという作業は、パンダにあたったらどうしようとハラハラしながら投げつけました。(笑)
我々がお世話をした3頭のパンダは、団団、圓圓、美霊。(団団と美霊は双子です)
特に団団と圓圓は、今のところ台湾に送られるパンダという位置付けなので、特別扱いの雰囲気でした。
約3時間の作業でした。
ちなみに我々の担当の飼育員さんは、河北省の出身だそうです。
ずいぶんと遠くから来ているのですね・・・
余談ですが、支給されたつなぎは、この日一日着用していてもよく、これを着ていれば、普段は入れない親子パンダの育児室なども見ることができます。
夕方には、この飼育体験に対し、飼育員の責任者カンさんから直接、名前入りの「志願者証書」をいただきました。

◆パンダとふれあう--- 5分で1,000元。
支給されたつなぎ、もしくは青い前掛けをつけて、パンダの運動場に入ることができます。
今回は8名ずつ、8頭のパンダ(1歳)の運動場に入りました。
飼育員さんが餌をまくと、一斉にパンダが集まってきます。
そのパンダに抱きついたり、ほおずりしたり、写真を撮ったり・・・!!
この時は、ものすごく興奮しました。時間が経ったのが分からないほど、一瞬の出来事でした。
終わったら汗びっしょりでした。

◆記念写真---  子供(1〜2歳)のパンダ--500元 / 大人のパンダ--200元
今回私は、子供のパンダとの記念写真を撮りました。
餌を食べているパンダちゃんがベンチに座っていて、人間が次々に座っての撮影です。
これについては飼育員さんも敏感になっていて、「快、快!(早く早く!)」とせかしての撮影でした。

◆里親制度
その1)一年間、あるパンダの里親となる。そのパンダには最大10名まで里親が付く。4,000元
 一年間の命名(愛称)権はあるが、他にも最大9個の愛称が付く。
その2)一年間、一人で、あるパンダの里親となる。40,000元
 命名(愛称)権はあるが一年間だけ。
その3)パンダの生涯に渡り、一人で里親になる。300,000元
 戸籍として命名できる。

私は諸般の事情で申し込みはしませんでした。

本来、我々と会える予定ではなかったこの臥龍自然保護地区の局長の張和民さんと、帰り道偶然に(渋滞のおかげで?)山道で会うことができました。
もともとは研究中心の所長だったのですが、パンダの繁殖に成功したことを認められ昇格したそうで、お忙しそうでした。
今回も、成都での会議での帰り道だったそうです。

今回、我々は臥龍に2泊し、真ん中の1日を使い、のんびりと興奮しながら過ごすことができましたが、現在(当時)の道路事情では、最低でも1泊して臥龍でゆっくり過ごすことをおすすめします。


成都大熊猫繁育研究基地

成都の北部に位置する繁殖育成基地です。
基地の中は非常に広く、また起伏もあり、電動カートで移動します。(去年は無かったらしい)
臥龍と違い夏は非常に暑いので、室内には空調も整備されているそうです。
ここには、北京オリンピックのマスコットとなった晶晶(ジンジン)や、白浜生まれの雄浜も暮らしています。(雄浜は見つからなかった・・・)
我々が訪問したときはちょうど夕方、パンダちゃんたちはお昼寝中でした。
贅沢にも臥龍から来るとモノタリナイ感じで、レッサーパンダの大群も見に行きました。

  

ここでちょっと中国語のお勉強。
雄浜を探しているとき、ガイドのワンさんが係員さんに、雄浜がどこにいるか訊いてくれました。
するとその係員さんは、「他們是日本来的朋友ma?(彼らは日本から来た友達ですか?)」と言っていました。
私は、「朋友(友達)と言ってくれてありがとう」という気持ちになりましたが、もしかしたら、結構気軽に「朋友」と言うのかも?


まとめ

念願の臥龍への初めての訪問。
元気なカワイイパンダちゃんたちを見て、触って、遊ぶことができて幸せでした。
また、このような山奥で故郷を離れ、朝早くからパンダのお世話をしている飼育員さんたちの姿を拝見し、本当にパンダを愛しているのだな、と感じました。
環境問題が取りざたされる中、WWFのマスコットにもなっているパンダは自然保護のシンボルとして、世界中から注目され、また世界中からたくさんの人々がパンダを見に、そして支援しにこの臥龍にやってきています。
これらの支援が有効に使われ、パンダが絶滅の危機から救われるよう祈ります。

今回のツアーにご一緒してくださいましたパンダ所長のご人徳と、お気遣いに感謝します。
パンダ好きの人たちとの臥龍訪問は、最高に楽しい旅行でした。
ご一緒してくださいました研究員の皆さん、ガイドのぼんこちゃん、ワンちゃん、そして悪路にも負けず、当て逃げにも負けず、安全運転してくれた運転手のカクさんに感謝いたします。
ありがとうございました。
ここまで読んでくださった皆様にも感謝します。おわり。

 
パンダとは直接関係ありませんが、道程


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