2006/4/11更新
映画「ゴージャス」に関するエトセトラ
もともとジャッキー・チェンのアクション映画はそれほど見たことが無かったのですが、この「ゴージャス」だけは、なぜか何度も繰り返しみてしまいます。
なぜだろう、、、ストーリー自体は、かなり無理があるとは思うのですが。。。
任賢齊、周華健が出演しているのも理由の一つです。
でももっと好きなのは、出演者全員が、なぜだか心温まる人たちばかりだからかな。
本当の悪人は出てこない健全な(?)映画だからかな。
何度見ても、最後の岬からのイルカを見下ろすシーンではジーンときます。
いろんな面で大好きな映画です。
何度も何度も見ているうちに、ゴージャスオタクのようになってきた。。。
ゴージャス/日本語タイトル
GORGEOUS/英語タイトル
玻璃樽/中国語タイトル
1999年香港映画/ゴールデン・ハーヴェスト作品
上映時間/2時間1分 
カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル
監督:谷徳昭ビンセント・コク/製作:成龍ジャッキー・チェン

※シャッキー・チェンが初めて挑戦したラブコメディです。
 
ストーリー

チェン陳子午(ジャッキー・チェン)は大会社の経営者であり、株取引も積極的に行う香港の大富豪。
しかしチェンにはライバルも多く、心休まる日がない。
ある日、ライバルの盧(周華健)がチェンを罠にはめるが、その時助けてくれたのはプウだった。

プウ阿不(スー・チー)は台湾の漁村に住む少女。
プウに思いを寄せる青年・隆一(任賢齊)にプロポーズされるが、どうもピンと来ない。
ある日海岸で、どこかから流れてきたボトルを拾う。
そのボトルには「君を待っている」と書いてある手紙が入っていた。
その手紙に運命を感じたプウは、手紙の主を探して香港に旅立つ。

手紙を書いたのは、オカマのアルバート(トニー・レオン)。
がっかりしたプウだったが、ある日、ライバルの盧(周華健)に罠にはめられたチェンを救う。

チェンはプウの天真爛漫さに心の平安を感じる。
プウも、この大富豪であり心優しいチェンにひかれるが、ある誤解がもとで、プウは台湾に帰ってしまう。。。。

続きは映画を見てね。
 
■出演者

陳子午(ジャッキー・チェン)

言わずと知れた大スターですが、役柄にもジャッキーの人柄がにじみ出ています。
ジャッキーが一度負けた後のトレーニングのシーンはすごい。
「こんなトレーニングをしているのか」と驚かされます。(特にローラー。)

阿不(スー・チー)
夢翔ける人の時は何とも思わなかったのですが、この映画では、とっても可愛い女の子でした。
ただ、ジャッキーの相手としては、年が離れすぎているのでちょっと無理があるかな、と思いました。(まあ、映画だからいいけどね。)

アルバート(トニー・レオン)
この映画では、「オカマのトニー」で有名になってしまいましたが、本質は阿不も隆一も大切にしている、頼れるアニキ(アネキ?)だと思う。
トニー自身といえば、渋いトニーより、こういった一癖ある役の方が、私は好きです。

阿不の父(陳松勇)
家族や仕事や友人を大切にして、頼りになるお父さん。優しい、強いお父さんです。
陳松勇さんは台湾の名優で、有名なところで「悲情城市」に出演しています。

阿不の母(金燕鈴)
香港人だと思います。愛しのお父さんと結婚するため、香港から台湾にやってきたお母さん。
阿不にも「自分の心を信じなさい」とアドバイスをし、最後まで阿不を温かく見守っています。
お母さんの香港の恋しいものは、「臘味飯ラップメイファン」。腸詰などが乗った、いわゆる土鍋御飯ですね。
で、この女優さんは、「宋家の三姉妹」のお母さんですよね?

盧乃華(周華健)
ジャッキーの小学校からのライバル。仕事でも恋でもジャッキーに敵対心を燃やしています。
最初はただの悪役かと思っていたのですが、「倒れているものに手を出すのは卑怯者だ」と言ったり、力ずくでジャッキーに勝ってもやはり「あまりうれしくない」と言ってみたり、心の底ではジャッキーの親友です。
また最後には「失った時間は戻らない」という、ジャッキーの心を開く大切な台詞を言います。
ちなみに、実生活でも華健とジャッキーは仲がよく、映画の中でつけていたダイヤ入りの高級時計は、ジャッキーの私物だそうです。

隆一(任賢齊)
阿不にふられつづけるというかなり損な役回りですが、優しい任賢齊の人柄がにじみ出ている役です。
最後にふられても阿不が幸せならば仕方ない、という表情がいいです。
リッチーのこうした酔っ払いの情けない役はもう無いんじゃ・・・

陳の執事(劉以達)
なんだか不気味な雰囲気の執事ですが、いつも社長を大切に思っている、忠実な執事です。
タツ・ラウって、実生活でもこんな雰囲気なの??

アラン(ブラッドリー・ジェームス・アラン
盧乃華に雇われた格闘家ですが、最後は、お金ではなく自分の名誉のためにジャッキーと戦う男気のある人です。
ちなみにアラン自身はジャッキーの弟子で、ジャッキーの映画にはチラチラと出演しています。

KK 環境保護庁長官?(張沖)
エンドロールには、「ジャッキーの老師」と紹介されています。
「良い勝ち方とは、相手の尊敬を得るような勝ち方だ」と教えます。良い言葉ですね。
 
■カメオ出演。エンドロールを読んで、分かった範囲で明記します。

林雪
阿不のお父さんが経営しているレストラン「老船長」で、阿不に水で薄めたビールを飲まされる一人。

張達明
香港行きの飛行機の中で、阿不をナンパする人。

馮徳倫スティーブン・フォン、呉彦祖ダニエル・ウー、王合喜ケン・ウォン
ヨットの上での撮影シーンでのカメラマン。

呉君如サンドラ・ン、李力持リー・リクチー
香港の空港のスリ。
この二人の演技は最高ですね〜。

李燦森サム・リー、田啓文、蘇志威エドモンド・ソウ、徐志雄
阿不に雇われたチンピラ。
ちなみに、この四人組の役名はなぜか「排骨姉妹」です。

周星馳
警官。
あくまでも友情出演なので、エンドロールにもクレジットされていません。
有名な話ですが、ジャッキーは星馳の「喜劇王」にも友情出演しています。
これは「ゴージャス」と「喜劇王」はちょうど同時期に隣のスタジオで撮影していたからだとか。
ちなみに「喜劇王」の監督は上にも書いてある李力持(空港のスリ役)です。

雷頌徳マーク・ロイ
盧乃華(周華健)の秘書。

盧恵光ケネス・ロー、段偉倫、陳旭初、関湧
盧乃華(周華健)の頼りない用心棒です。
ちなみにこの四人組の役名は、「四大天王」です。

葛民輝エリック・コット、谷徳昭ビンセント・コク
プロムナードで隆一が阿不の行方を尋ね、メリーだ、バニーだと言う二人組み。
ちなみに谷徳昭はこの映画の監督です。
このシーンでは、リッチーはよく海に飛び込みましたね。

羅家英
ペニンシュラのレストランのウエイター。
粤劇俳優だけあり、身のこなしがスマートです。

三牧尚子
陳子午(ジャッキー)の企業顧問。日本人です。
彼女と話すジャッキーの日本語、「指示通りに従ってください」「そんなつもりじゃない」というのは、すごく難しい日本語だと思います。

蘇慧敏
本物の台湾のギャングの愛人。

樋口明日香
島の少女。最後にジャッキーが「この島には美人が多いから」と言う時にビンを拾う少女の一人として映ります。

他にもたくさんカメオしていそうな気がするのですが分かりません。(情報求む)
 
■音楽について

主題歌
「來夜方長」(広東語) / 「愛得正好」(北京語)
蘇永康ウィリアム・ソー&陳潔儀キット・チャン合唱でとても美しいメロディ。
伴奏も綺麗なガラスがキラキラしているような印象です。
この歌には北京語と広東語がありますので、カラオケで歌うときには気をつけましょう。

挿入歌
「流浪到淡水」 台湾語
金門王與李炳輝の作品ですが、本人たちが歌っているものは使われていません。
阿不のお父さんが経営しているレストラン「老船長」で、皆で一緒にカラオケで歌います。この曲は二回使われます。
以下、歌詞とルビです。

ウエンボエン タッケライツェホェ
有縁 無縁 大家来作〔イ火〕

ショチュリムチッポェ ホッタラー ホッタラー
焼酎飲一杯 乎乾〔口拉〕 乎乾〔口拉〕

挿入歌
「有縁無〔イ分〕」 台湾語
江宸フ作品ですが、本人が歌っているものは使われていません。
隆一(任賢齊)が阿不にプロポーズした夜に、「老船長」でカラオケで歌う曲です。
任賢齊は哀愁をこめて歌うのか、ヘロヘロに聞こえます。
以下、歌詞とルビです。(協力:師匠@中華音楽研究会)

リカゴァウエンボフン mタンタンゴチンツン
汝甲我有縁無分  不通耽誤青春

リピションエシツン インゴァヒビシムスン
汝悲傷的時陣  引我稀微心酸

タンゴアエホンホリュンスンスン チウショボポェポァグン
窓外的風雨冷酸酸     只有寂寞陪伴阮

タンゴアエロティボヒョクン チンチュウゴァシムライコブン
窓外的路灯無休困  親像心内的苦悶

グェニュウリャウカイランチンフン インインワンワンククトゥントゥン
月娘瞭解[口自]情分  永永遠遠久久長長

シャツァイミァウンヒラングン ハイランカンチンボエアンウン
誰知命運戯弄阮  害[口自]感情未安穏
 
■カットされた部分

この映画は、日本バージョンと香港バージョンがあります。
各バージョンにはそれぞれカットされたシーンがありますが、ここではカットされたシーンを再現します。


日本バージョンでカットされた部分

最後にジャッキーが阿不を台湾に迎えに来て全て丸く収まり、リッチー(隆一)とトニーが顔を見合わせながら「仕方ないか」というシーンの後、一人の少女が近寄ってきます。

隆一「イ尓是。。。」(きみは。。。)
小君「我是小君ya」(私は小君よ。)
隆一「小君?我認識イ尓ma?」(小君?僕はきみを知っているのかな?)
小君「我一直住在イ尓隔壁ya!」(私はずっとあなたの隣(そば)にいたわ。)
隆一「真的!?那太好了」(本当!?それは良かった!)
小君「好什麼?」(なにが良いの?)
隆一「aa、、天気好。」(あぁ、、天気が良いね。)

ちなみにこの後、トニーのそばにタツ・ラウ演じる執事がやってきて、二人はいい雰囲気になり、イチャイチャしだします。
トニーがタツ・ラウの前髪をいじったり。。。

余談ですが、最後のNG集も香港バージョンの方が長いです。


香港バージョンでカットされた部分

阿不とアルバートが告白&キスの練習をするシーン。
またそこに偶然隆一がやってきて、「阿不!ここにいたの!」というと、アルバートが「阿不はいないわよ。幻想じゃない?」と言い、ウォッカを飲ませるシーン。

阿不が台湾に帰った後、仕事場にかかってきた電話の受話器を、ジャッキーが奪うシーン。
 
■執事が意気消沈したジャッキーに言う詩

落紅不是無情物  化作春泥更護花

日本語字幕:
 恋は落ち葉のよう 土となり また葉を茂らせる

この詩は、清代末期の詩人〔龍/共〕自珍(きょうじちん)の「己亥雑詩」の315首のうちの「其二」の一部です。
「己亥雑詩 其二」
浩蕩離愁白日斜
吟鞭東指即天涯
落紅不是無情物
化作春泥更護花

私は漢詩には精通していないので、いいかげんなことは書けませんが、旅立つ悲しみと明日への希望をうたっているのでしょうか。
映画の日本語字幕では、「恋は落ち葉のよう 土となり また葉を茂らせる」となっていますが、正確には、
「落ち葉(詩人自身のこと?)は無情のものではない。春の泥となり、更には花を護る。」という感じですかね。
 
■キャラクターのテーマカラー

それぞれのキャラクターの衣装には、個性を表現するために、テーマカラーがあるそうです。

陳子午(ジャッキー・チェン)--白
阿不(スー・チー)--青
アルバート(トニー・レオン)--ピンク
盧乃華(周華健)--黒
 
■台湾でのロケ地

この映画の台湾パートのロケ地は、「吉貝嶼」。
澎湖群島北海域中の最大の島です。
http://202.39.225.132/jsp/Jap/html/attractions/scenic_spots.jsp?id=663

以下は、ホームページでの紹介文より。
吉貝嶼は澎湖北海最大の島です。
面積は3平方メートル、東半分は玄武岩の台地で比較的高く、西半分は一面の砂浜で、早期から マリンスポーツのメッカとして知られています。
吉貝南端の沙尾海湾はとくに著名で、数千メートルにおよぶ黄金色の砂浜が続いています。しかもその面積は不断に拡張しており 、澎湖地区でも得難い大規模な砂州を見ることができます。このほか、吉貝北岸には澎湖伝統の漁法である「石滬」と呼ばれる漁法の施設が数十も展開しており、貴重な文化財のひとつと申せましょう 。
 

万事如意▲